デコを出してみました~

【注意】この記事は減圧症に関する記述がありますが、減圧症について全てを説明している訳ではありません。この記事を参考にして行動される場合は自己責任でお願いします。また、ダイブコンピュータの表示する安全な範囲で潜っていれば、減圧症にならないという説明ではありません。

 

ダイビング中、水中では体に窒素がたまります。その窒素がたまり過ぎないように管理して潜らないと減圧症になってしまいますね。

深く行けば行くほど窒素はたまりますから、その深さにいられる時間は短くなります。でも、その深さから浅い場所へ移動することで、また潜っていられる時間は少しずつ長くなります。この、“今の深さならあと何分潜っていられるか”を管理し、表示してくれるのがダイブコンピュータです。この“何分”というのは言い換えればその深さにいられる“残り時間”ということになります。

そして、この“残り時間”のことを“無限圧潜水時間”と言ったり、“NDL(no deco limit)”と言います。ウルトラマンが地球に3分しかいられないのと一緒?です。ただ、NDLの時間は今いる深さによって違ってくるということです。

ここまでは宜しいでしょうか?(笑)

さて、この“今の深さにいられる残り時間”ですが、これを過ぎてしまうとどうなるのでしょうか?普通はこの残り時間を超えないように潜るのですが、人間にはミスが付き物で、うっかり超えてしまう可能性もあります。

ウルトラマンの“ピコンピコン・・・”という何とかタイマーのように、残り時間が少なくなるとダイブコンピュータは注意警告を出してくれたりします(ダイブコンピュータによって違います)が、それに気づかず残り時間を超えてしまうと、ダイブコンピュータの表示画面に「DECO」と表示が出ます。これは「残り時間過ぎちゃいましたよ!」という警告表示です。

このように、その深さにいられる時間を過ぎてしまった、つまり限界を超えてしまった場合に、ダイブコンピュータはDECOの表示を出してくれます。このことをダイバーの間では、「デコを出す」とか、「デコる」と言います。ダイバーの「デコる」は、スマホにキティちゃんのキラキラを付けるのとは違います。デコってはいけません。

多くのダイバーは、普段はデコを出さないように潜っていると思いますが、前述したようにうっかり出してしまう場合があります。当店でも時々、「DECOが出てる」と言われることがあります。一緒に潜った周りの人はデコが出ていないのに、自分一人だけデコが出てしまうのです。これは、“自分だけ周囲の人より深い場所にいる時間が長かった”ことが原因である場合が多いです。

さて、少し長くなりましたが、ここまでは前置きで、ここからが今回の内容になります。

普段ダイブコンピュータを持って潜っている方で、デコを出した経験のある方はいらっしゃいますか?また、デコが出たらどう行動すれば良いかご存知ですか?

少なくとも、アズールマリノでダイビングをして頂いている方のほとんどがそういう経験をお持ちでないと思います。

しかし、うっかり自分だけデコを出してしまった場合に、きちんと対処できないと困りますよね。

そこで、考えた企画が【デコを出して潜ろう!】です。と言っても、実際に限界を超えて潜る訳ではありません。

デコが出たことをシミュレーションするだけです。これにはダイブコンピュータが二つ必要になります。一つはシミュレーション用にデコを出す方、もう一つは実際の限界の範囲内で潜るためのものです。

シミュレーションは自分がデコを出した時に対処するためのものなので、こちらは自分のダイブコンピュータを使います。もう一つのダイブコンピュータはレンタルをお使いいただけます(無料でレンタルします)。

シミュレーションで自分のダイブコンピュータにデコを出す方法はいくつか有ります。1.深い場所にダイブコンピュータを置き去りにして一旦少し浅い場所に移動して、あとからそれを取りに行く 2.セーフティーファクターを変更する 3.エンリッチを使う

さあ、ここで「意味がわからない・・・」という方が増えてきたのでは無いでしょうか。一般ダイバーでこの意味が分かる人は相当自立できているダイバーです。

詳しい説明はここでは書きませんが、3つの方法の違いを説明していきます。

1の方法は自分のダイブコンピュータを置き去りにするので不安ですよね。無くすような状況ではやらないので出来なくは無いのですが、ただ、置き去りにしてきたダイブコンピュータのNDLを常に確認できる状態にないのであまり現実的では有りません。

2か3の方法が現実的です。さらに結論から言ってしまうと、3のエンリッチを使う方法が一番お勧めです。

ここで、セーフティーファクターとエンリッチでどれくらいNDLに差があるのか比べてみましょう。

先ずはセーフティーファクターを変更した場合のNDLの比較。下記のセーフティーファクターの表は、TUSAのホームページから引用させていただきました。

水深21mだと、SF-0元の設定のまま)で35分、SF-1で33分、SF-2で30分です。SF-0とSF-2の差は5分です。

次にエンリッチを使う場合と、使わない場合で比較します。ここは一旦セーフティーファクターのことは忘れて下さい。

水深21mの場合、通常の空気だと35分。それに対し、EAN32を使った場合は52分です(この数字は私のダイブコンピュータのPLANモードで出した数値です)。17分も違います。

セーフティーファクターを変更してシミュレーションしても、その差は5分しかないのですが、エンリッチを使ったシミュレーションなら17分も余裕があることになります。

ここまで、ついてこれてますか??

良くわからなくてもかまいません。とにかく、エンリッチの方が余裕があることだけ覚えておいて下さい。

 

エンリッチを使ってシミュレーションする際には、自分の持っているダイブコンピュータはエンリッチに合わせて変更せず、通常の空気のままで潜る設定にします。つまりコンピュータの設定は変更しません。そしてもう一つのダイブコンピュータは、エンリッチに変更します。

実際のダイビング中は、エンリッチ用に設定しているダイブコンピュータに従います。この限界は絶対超えないように注意して下さい。普通にダイビングをしていると、エンリッチ用に設定しているダイブコンピュータは限界時間に余裕が有りますが、設定変更していないダイブコンピュータはかなり早く限界に近づきます。そのまま限界を超えるまでダイビングを続けますが、自分のダイブコンピュータの限界を超えても、エンリッチを使う事で実際には限界までまだかなり余裕があることがわかります。

自分のダイブコンピュータは限界を超えるとデコの表示が出ます。この表示がどのように出るのか確認しておきましょう。そして、ダイブコンピュータの指示に従い浅い場所へ移動します。デコが出ると不安に感じるかも知れませんが、実際にはエンリッチを使っているのでまだまだ時間に余裕は有ります。ゆっくりゆっくり浅場へ移動しましょう。ダイブコンピュータの指示に従って浅い場所へ移動すれば、デコの表示を消すことができます。表示が消えると、ダイブコンピュータは浮上OKのサインを表示してくれますので、そのまま浮上してダイビングを終了しましょう。

以上がダイブコンピュータでデコを出して対処するためのシミュレーションです。

このシミュレーションは正しい知識を持っていないと危険を伴います。バディ同士でセルフダイビングをする際、知識に自信のない方はこのページの情報だけで実行しないようにして下さい。

また、繰り返しますが、ダイブコンピュータの範囲で潜っていても減圧症にならないという訳では有りません。